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旅は続くよ

第39章 見えてなかった

O「ニノは別に付き合ってねーぞ」

S「ええ?だって…、じゃあ知らずに好きとか」

O「何言ってんのかわかんねーけど、ニノも知ってんぞ?ってか、ニノが2人をくっつけたんだし」

S「ええっ!?」

だって、てっきり俺はニノが雅紀を選んだと…

だから、俺はニノの為に諦めて…

なのに


S「マジで?」

O「マジで」

S「…マジかよぉ~…」

思わずテーブルに突っ伏してしまった


何だったんだ、あんなに悩んだのに

何にも知らずに1人で身を引いたつもりでいちゃって

まるで八つ当たりみたいにニノを突き放して

S「ああぁあ~~ッ!」

思い出すだけで恥ずかしい!

穴があったら入りたい

っつーか、誰か俺を埋めてくれ!


O「もしかして、ニノと雅紀が付き合ってると思って諦めようとしてた?」

肯定するのも恥ずかしくて黙ってると

O「最近帰りを遅くしてニノの事避けてたのも、それ?」

笑いを含んだ声で追い討ちを掛けてくる


わかってんなら聞かないでよ

もうこれ以上言わないでくれ

そう思ってる俺の頭上に

O「バカだね~」

ケラケラ笑う声が容赦なく降ってきた


O「ふふっ、翔ちゃんってバカだよね。頭いいのに、たまにバカ」

S「もう…っ、すみませんね、バカで」

O「まだ好きなんだろ?ニノの事」

まだ少し笑いの治まってない智くんに、今度は素直に頷いた


好きなんだ

結局は諦めきれない

俺の為に涙を堪える肩を

必死に訴えてくれる瞳を

あの時、何度抱きしめてしまいたいと思った事か

そんなに俺を思ってくれるなら、俺を選んでくれよ

何度そう縋ってしまいそうになった事か


もしもニノが雅紀を好きじゃないなら…

まだ俺は諦めなくていいんだろうか

望みを抱いててもいいんだろうか


O「しょーがねぇな~、ウチの弟は」

テーブルに突っ伏したまま、顔だけ上げた俺に笑い掛けて

肩にポンと手を置いた

O「お、今日も撫でてんな」

S「余計なお世話だわっ」


俺、いろいろ見えてなかったわ

やっぱ1人でグルグル考えてても良い事なんて1つも無いね


よく分かったよ

ニノの作ってくれる流れに乗ってみよう

それが何処に辿りついても構わない

ニノと一緒にどんな波も乗り越えられるから


ニノと一緒なら


そう思うだけで力が湧いてくるんだ


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