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旅は続くよ

第43章 そうとは知らずに

だがしかし!

眠れるワケねーに決まってんだよ

片思いの相手と一緒にベッドに入ってんだぞ?

この状況ですぐに爆睡できる奴なんか世の中にいるのか!?


右半身に感じる高い体温

耳に届く微かな息遣い

何もかもが甘く体に響いて


…俺、ヤバいかも……


心臓が左胸の中で暴れてる

全神経がニノの気配を追い求め、股間に熱が集まってくる


正直なとこさ…

今までニノを好きだと思っていても

可愛くてキスしてしまいたいと思っていても

ちょっとはその先まで妄想した事はあっても

すぐ傍にいる状態で、ここまで体が反応するのは初めてで…


ヤバい…

どうしよ…

焦れば焦るほど、パジャマの中の雄が頭をもたげてくる

俺の気も知らないムスコは別の生き物みたいに

静かな薄暗い部屋の中でドクンドクンと脈を打ち始めてるんだ


ダメだ、こりゃ…

もうちょっとしたら、

あと少ししてニノが完全に寝静まったら、部屋を出よう…

トイレでも風呂でもいいからムスコを何とか落ち着かせなきゃマズイ


そう思ってる時

ニノが深く長い息を音もなく吐いて、モゾモゾと身動きをした

微かに指が触れ合った

その瞬間、その部分だけ肌が敏感になって

頭より先に体が動いて

ゆっくり…、そっと触れた指に自分の指を絡めた


…おいおい!

何やっちまってんだ俺!

無意識にとった自分の行動に自分でツッコんだけど

ありがたい事にニノは何の反応も示さない

良かった…

せっかく一緒に寝てるのに、こんな事で白い目で見られたくないもんな

無意識な俺ってヤバいな…

ホッとして、今の内に指を離そうかと思ったら

絡めた指が僅かに曲げられた

まるで俺の指を握り返してくれるかのように


…え?

…どういう事?


その真意が知りたいくせに動けない

隣の気配を窺っていても、それっきりニノも動かない

…寝ぼけてんのか?

指は僅かに握り返されたまま

時間だけが静かに流れてく


たったこれだけの事なのにさ…

ただ軽く絡め合っただけの指が嬉しくて

伝わってくる温もりが愛しくて

ドキドキしっぱなしで

俺からそれを解く事なんてできない


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