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旅は続くよ

第45章 重なる想い

Sside



ニノが頑張ってくれた事で、俺も意を決して“姉”に連絡を取った

今まで無視してきた俺からの電話に相手は驚きながら

「気が変わらないうちに」なんて言って、素早く日時を指定してきた

約束の日は、翌週の平日

日時まで指定してくるって事は、俺が行くとマズイ日があるのかもしれない

例えば、父親の奥さんが病院にいる日とか…

そんな修羅場はこちらとしても御免被りたいね

素直に従うのもシャクだけど、その申し出を受け入れた


「仕事の都合もあるだろうけど…大丈夫?」

今更過ぎる遠慮を見せてくれたけど、どうせ有給も溜まっているし

翌日は祝日だから、遠出で何かトラブルがあっても対応できそうだ

「たぶん大丈夫です」

それだけ言って電話を終えた


『たぶん』と言ったのは、ニノも一緒に来てくれたら…

そう思ったから


ガキじゃあるまいし、ニノが傍にいてくれなきゃ1人で会えない、なんて言うつもりはない

だけど、俺がニノの言葉を聞いて心を動かされたように

ニノにも俺の言葉を聞いて欲しくなったんだ

ニノの言葉を聞いた事で、湧き出てきた俺の“文句”

まだセリフが定まったワケじゃないし

実際会ってみたら、また違う思いが湧き出てくるかもしれないけど

その場に立ち会って欲しい

ニノに見届けて貰いたい

そうして俺は新しい1歩を踏み出したい気持ちになってるんだ



その日の夜、寝る前になってニノの部屋を訪れた

ノックの音に薄くドアを開いたニノは、俺の訪問にビックリしてた

N「どうしたの?こんな時間に…」

S「悪い。もう寝てた?」

N「いえ、まだだけど…」

S「ちょっといいかな」

N「え?…え、っと……」

ドアを細く開けて顔を半分しか見せないまま、なんだか言いよどんでる様子に

ちょっとした違和感を覚えた


…なんだろ

また何かあった、とか…?


S「ニノ?」

N「えっと…いや、いいんだけど、ちょっと待っててく」

S「入るよ」

N「あっ、ちょっ…」


薄く開いてた隙間に手を差し込んで、力づくで部屋のドアを開けた

ニノの体を押しのけるようにして入った部屋には

荷物が入れられたダンボールが幾つかと

衣類が詰め込まれてる途中の大きなボストンバッグ

あれは、ニノがこの家に来た時の…?

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