テキストサイズ

旅は続くよ

第45章 重なる想い

S「好きだよ…」

しつこい位に繰り返す

もう1度、いや、もっと聞きたいんだ

ニノの口から、夢のような言葉を

それなのに擽ったそうに笑うから、子供みたいにせがんでしまうよ


S「なあ…」

N「ん?」

S「もう1回言って」

N「んふふっ、…何を?」

S「俺の事、『好き』って…」

N「…好き・・・」

S「…誰を?」

N「もう…。あんま言わせないでよ、恥ずかしい…」

S「いいから」

何度聞いても足りないんだよ

ずっと想ってた

ずっと諦めようとしてた

なのに、ずっと好きなままだったんだ


まだ物欲しそうな視線を送ると、ニノは微笑んで

N「好きだよ、翔ちゃん…。大好き」

心を込めて囁いてくれた

繰り返すその言葉が、ようやくだんだん響いてきて

愛しさが溢れて、目の前の唇にそっと指で触れた


S「…触っていいか?」

N「触ってんじゃん…」

S「そうじゃなくてさ…」

唇に触れていた指で、そっと顎を掴んで

その小さくて柔らかな唇に自分の唇を重ねた

押し付けるだけの数秒のキスなのに

ドキドキして心臓が飛び出そうだ


唇を離すとニノの顔は赤くなっていて

あんまり可愛いからもう1度キスしようとしたのに、顔を逸らされた

N「ちょっ…、タンマ」

S「なんで」

N「だって何かもう急に…、持たないからっ」


胸に沈んだ柔らかな髪を指で梳いて

S「ニーノー」

キスを強請るように促す

N「ちょ、待って。なんか俺、今きっと変な顔になっちゃってるから…」

S「可愛いよ」

N「アホですか、可愛くないわっ」

S「世界一可愛い」

N「何言って……んぅ…」


おしゃべりな口をもう1度唇で塞いで

隙間から差し入れた舌で口内を味わいながら

俺はいつまでもニノを抱きしめていた



ストーリーメニュー

TOPTOPへ