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旅は続くよ

第45章 重なる想い

S「違う、ごめん。やっぱ今の無し。忘れてくれていいから」

ニノの茶色い瞳が揺れて潤んでるように見える

泣くなよ

頼む

俺の想いなんてどうでもいいから


S「俺とは関係なく、ほら、此処には智くんも雅紀もいるしさ、潤だって」

N「翔ちゃん・・・!」

切なそうに呼ぶ声にハッとして、目の前のニノを見つめ直した


N「…ホントに…?」

S「え…」

N「今の…、ホント?」

今の…って、告白の事?

だったら『嘘だよ』と言ってしまえばいい

『好きじゃないから出ていくな』と…

でも、言うのを躊躇ってしまうんだ

ホントに好きだから

大好きだから

どうしても嘘だと言えない…


N「俺も・・・」


戸惑う俺の耳に小さな声が聞こえた

N「俺も、好き・・・」

S「・・・え?」

N「・・・嫌われたかと思った・・・!」

掴んでいた細い肩が、そのまま腕の中に雪崩こんで胸にしがみついてきた


N「俺の役目は終わった、なんて言うから・・・、此処にいる必要ないなんて言うからっ!
俺の事なんかとっくに嫌いになったんだと思ったじゃないか・・・っ!」

腕の中の声が震えてる

愛おしくて、その体をギュッと抱き締めた


S「ごめん・・・」

N「・・・もう・・・っ、早く言ってよ・・・」

S「うん。・・・ごめん」

信じられない

ニノも、俺のことを…?

腕の中の温もりも幻のような気がして、茶色がかった柔らかな髪に鼻を埋めると

スンッと鼻をすするような音が聞こえた


泣いてんのかな…

背中に回してた片方の手でニノの顔をそっと探ると

頬に触れた指先が微かに濡れた

S「泣くなよ…」

N「・・・うっさい、誰のせいだよ」

S「・・・俺か」

N「当たり前でしょ?」

クスッと、やっと小さく笑ってくれて

腕の中から見上げてきた瞳に、また愛しさが込み上げる


S「好きだよ・・・」

N「・・・俺も好き」


やっぱり夢を見てるみたいだ

温もりを手にしているのに、まだ信じられない


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