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旅は続くよ

第46章 あまあまな気持ち

Nside



朝の微睡の中、意識の遠くでドアの開く音がした

S「起きて。朝飯の時間だよ」

……あ…、翔ちゃんの声だ…

足音に続いて、シャッとカーテンを開ける音がして

閉じた瞼にも朝の光が届いた


S「おーい、ニノ~」

んふ、でも起きてやんないよ

もうちょっと寝たふりしようっと

ボヤけた頭で思い付いた、ちょっとしたイタズラ

翔ちゃんはどうするかな


S「マジで寝てんの?」

プニプニと指で頬をつつかれる感覚

声がすごい近くに聞こえる

寝てるふりだけど、寝顔を間近で見られんの少し恥ずかしいな…

笑っちゃいたいのを我慢して、目を瞑り続ける


あれ?

静かになったな…

もう起こしてくんないのかな…

少し残念に思った瞬間、額にかかった前髪を優しく撫でられた

S「…可愛い」

ええっ!?

何言ってんの、翔ちゃん

それって俺の事!?

思いがけない甘い言葉にドギマギしちゃうよ


S「こら。寝ながら照れんなよ」

N「…照れてません」

S「口元。緩んでるぞ」

そんなの、急に変なこと言うからじゃん…

悔しいから真顔に戻して目を閉じ続けた


S「起きろって」

N「ぐうー」

S「ははっ、何がぐうーだよ。ガッツリ起きてんじゃねーか」

N「瞼が重くて開けらんないのっ」

文句を言う俺の唇に降ってきたのは、チュッと啄ばむようなキス

N「な…っ!」

S「ほら、起きた」

驚いて開けた目に翔ちゃんの笑顔が飛び込んできた


S「おはよ」

N「…おはよ」

S「んははっ、めっちゃ眠そうだな」

…だって、昨夜は何だか寝付けなかったんだよ

翔ちゃんが部屋に帰って、ベッドに入ってからも、ずっとドキドキしてた

心臓が体の外についてるみたいに煩くて

何だか熱が出たみたいに体が熱くって

ボーっとした頭からは翔ちゃんが離れなくって

『好きだよ…』

頭の中の翔ちゃんが何度も何度も言うから

ベッドから転げ落ちそうなくらい1人でゴロゴロしてたんだもん


S「ほら、起きれるか?」

未だ布団に包まったままの俺に、手を差し出す翔ちゃんを軽く睨んでやった

S「なに?」

なに?じゃないですよ

逆に俺が聞きたいわ

なんでアンタは昨日の今日で朝からそんなに爽やかなのよ!?


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