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旅は続くよ

第5章 一緒にコタツ

Sside



S「ただいま~。…お?お~!!」

家に帰ってリビングに行くと、そこにはコタツ

NO「「おかえり~」」

智くんとニノがヌクヌクあたりながらTVを見てた


S「どうしたの、これ」

N「納屋の掃除してたら見つけたの。
使ってなかったんだって?」

確かにコタツを見るのは久しぶりで

存在すら忘れかけてた

コートだけ脱いで入ると

お~…、この温もり!


S「あったけ~…」

O「だろ?いいよな~」

既に智くんは肩まで潜り込んでいて、
座布団を枕にして寝転がっている

S「よく見つけたね。もう処分されたのかと思ってた」

N「処分って何よ。ちゃんと納屋の奥に仕舞ってあったよ?
コタツ布団も押入れにあったからお日様にちゃんと干してさ、大変だったんだから」

O「そういや何時振りだ?コタツ」

S「あんたの受験騒動以来だよっ」


忘れてるっつーのはどういう事だ!

智くんのせいでコタツが封印されてたのに


高3にして進路の事を全然考えてなかった智くんは

そんな息子を心配するあまりキレた母さんの売り言葉に買い言葉で大学受験を決めた

決して仲が悪かったワケじゃない

どっちかと言うと智くんは“お母さんっ子”だったし

母さんも智くんを猫可愛がりしてた節があった

だけど、高3の秋から受験勉強を始めた智くんは明らかに出遅れていて

動機が行き当たりばったりだから、やる気も希薄で

自分の部屋で勉強しても寝ちゃうし

リビングで勉強してもコタツで寝ちゃうしで

とうとうキレた母さんにより、我が家は強制的にコタツ撤去となり

次の年も俺が受験を迎えた為に封印されたのだ



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