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旅は続くよ

第5章 一緒にコタツ

事の顛末を説明すると、ニノは腹を抱えて大笑いした

N「あーっはははっ!!さと兄らしーね、それ!」

S「だろ?それなのに忘れちゃうってとこがまたこの人らし過ぎるっつーか」

O「ん?俺のせい?」

S「自覚ねーのかよっ」

N「そんで?受験は大丈夫だったの?」

O「おう。受かったぞ」

S「専門学校でしょ、それ!大学は受験しなかったんだろうが!」

N「えっ!?そんだけ騒いどいて受験しなかったの?」

O「だって行くだけ無駄だって、母ちゃんが」

S「国立なんて到底無理だし、4年間遊ばせるだけ無駄だってね」


そう

結果、専門学校も遊び倒して古書店を継いだのだ

N「いいんじゃない?跡取りだったワケでしょ?」

O「父ちゃんは継がせる気無かったんだよ。俺は好きだけどな、本屋」

その時、キッチンから声が掛かった


M「ご飯出来たよ~!」

S「お。今日は何?」

M「里芋のいり鶏、鯖のパン粉焼き。さと兄の好きなけんちん汁もあるから」

N「潤くんは今日も凄いね~」

M「褒めても何も出ないよ。まー兄は遅くなるから先食べちゃって」

O「…コタツで食いてぇな~」

NM「却下!」

ニノと潤の声が揃った


M「せっかくの晩飯、寝ながら食うのかよっ」

N「アンタね、掃除する身にもなりなさいよっ!絶対こぼすに決まってんだから」

2人に怒られて智くんがチラリと助けを求めるような目を俺に向けたが

もちろん知らんぷりを決め込んだ

さわらぬ神に祟りなし、だ


遅番の日は職場で食事を取ってくる雅紀を除いて、4人で食卓を囲んだ

いつもなら食後は部屋に行ったりリビングにいたり、バラバラなんだけど

今日は自然とコタツに集まり何気なくTVをつける

潤はマメに洗い物を済ませると風呂に行った


最初はちゃんと座っていた智くんは何時しかズルズルと寝ころんで

N「食ってすぐ寝るとブタになるよ~」

S「あれ、それって“牛になる”じゃね?」

N「え、そうなの?俺、昔っから“ブタ”の方だったけど」

S「地域性の差かな」

N「ジェネレーションギャップってヤツですかね」

S「アホかっ。2コしか違わねーわ」

O「どっちでもいい…。ねむ…」

ヤイヤイ言う俺らに、突っ伏したままヒラヒラと手を振った

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