テキストサイズ

旅は続くよ

第9章 一緒に寝ようよ 雅紀編

N「前にね、さと兄が釣り餌のタッパーを冷蔵庫に入れちゃったんだって。それでさ…」

ニノが話してくれたのは、それを佃煮だと勘違いした翔ちゃんの話で

あんまり可笑しくて大笑いして

それは心の中に垂れ込めてた雲を大分吹き飛ばしてくれて

そろそろ帰ろうか、となった時

N「ふぁ……っふ」

ニノが大欠伸した


A「どした?眠い?」

N「え…?…あ、うん…」

飲み終わったとはいえ、まだ早い時間

少し酒が入ったけど眠くなる程の量じゃない

A「…昨日の夜、眠れなかった?」

俺が一緒に寝てやれなかったから?

そうだったなら、ちょっと嬉しいんだけどな


N「いや、…まあ、眠れたっちゃー眠れたよ?
あ……でも寝付き悪かった…っつーか…」

珍しくニノが言い淀んでて

…何かあったのかな

突っ込んで聞いてしまった

A「何か心配事?」

N「いや、違うんだって。昨夜はさ…
翔ちゃんと一緒に寝たから」

A「え…?」

翔ちゃんと?

なんで?


A「えっと…。どうして?」

N「え?ああ…、いや、なんか寝れなくてリビングでダラダラしてたら翔ちゃんが来てさ
あの人、ずっと傍にいてくれて
そんで…なんか…一緒に寝てくれるっていうからさぁ…」

ニノの歯切れが悪い

なんか…、胸が痛い


A「1人じゃないなら眠れたんじゃないの?」

N「や、なんか緊張しちゃって。
…寝たふりしちゃった」

緊張って…なんで?

そんな事で緊張するようなタイプじゃないくせに

N「翔ちゃん寝ぼけてたらしくてさ、…指握ってきて…
ああいうの、なんか緊張する……」


指を握った?

翔ちゃんが?

嫌な予感がする

頭をよぎるのは、ニノを見つめる翔ちゃんの瞳

俺とニノの会話に入ってくる翔ちゃんの言葉

…なんか焦る

翔ちゃん、もしかして、ニノの事……?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ