旅は続くよ
第12章 無理
ニノと連れ立ってやってきたのは、海沿いの港町
同じ市内だから何度か訪れた事のある街並みの中に、その店はあった
お客がいるところも写真に収めたいというニノの希望もあって
夜の営業が始まったばかりの時刻
少しは陽が長くなってきたのか、
空の端っこが夕陽で染まっていた
N「はい、先入って」
店のドアの前まで来ると
ニノが俺の後ろに立とうとする
S「そんなに英語苦手なの?」
N「苦手じゃないの。嫌いなの」
S「嫌いって…」
N「勉強したって覚えられねんだもん
いいんだよ、俺は。外国なんて行かないから」
早く行けと言わんばかりに、顎で指図する
それがちっとも嫌じゃなくて
むしろ可愛いなんて思うんだから
俺…重症なんだな
洒落た木製の扉を押すと
灯りを抑えた店内にムードのあるジャズが流れていた
アイリッシュパブのような雰囲気
カウンターの客は殆どが外国人
カウンターの中の女性店員も金髪
店内には英語が行き交っていて
皆楽しげに酒を飲んでいた
金髪の女性店員に用件を伝える
声の感じからすると、彼女が電話の主らしい
OKと頷いて、奥に誰かを呼びに行く
その間、ニノはずっと俺の後ろ
隠れるようにピッタリくっついちゃって
…可愛いんだよ
S「ずっとそうしてるつもり?」
N「…ほっといて」
S「取材しづらくない?」
N「通訳がシッカリしてれば大丈夫でしょ」
S「ははっ、他力本願だな~」
N「…うるさいな…」
S「おっ?俺にそんな口きいていいの?」
N「…ごめんなさい、通訳サマ」
そうこう言ってる内に
奥から出てきたのは、やたら体のでかい青い目をしたオジサンで
「ヤァ、イラッシャイ」
外国人特有のイントネーションで話しかけてきた
N「…え、日本語?」
だよな
確かに日本語だ
それでもニノは俺の後ろにくっついてる
S「初めまして。お電話した櫻井です」
俺も日本語で話しかけると
「コンバンハ。オーナーノ、ジョンデス」
大きな手を出して握手してくれた
N「…取材させていただく二宮です」
ニノもやっと出版社の名刺を出して
ようやく取材の開始になった
同じ市内だから何度か訪れた事のある街並みの中に、その店はあった
お客がいるところも写真に収めたいというニノの希望もあって
夜の営業が始まったばかりの時刻
少しは陽が長くなってきたのか、
空の端っこが夕陽で染まっていた
N「はい、先入って」
店のドアの前まで来ると
ニノが俺の後ろに立とうとする
S「そんなに英語苦手なの?」
N「苦手じゃないの。嫌いなの」
S「嫌いって…」
N「勉強したって覚えられねんだもん
いいんだよ、俺は。外国なんて行かないから」
早く行けと言わんばかりに、顎で指図する
それがちっとも嫌じゃなくて
むしろ可愛いなんて思うんだから
俺…重症なんだな
洒落た木製の扉を押すと
灯りを抑えた店内にムードのあるジャズが流れていた
アイリッシュパブのような雰囲気
カウンターの客は殆どが外国人
カウンターの中の女性店員も金髪
店内には英語が行き交っていて
皆楽しげに酒を飲んでいた
金髪の女性店員に用件を伝える
声の感じからすると、彼女が電話の主らしい
OKと頷いて、奥に誰かを呼びに行く
その間、ニノはずっと俺の後ろ
隠れるようにピッタリくっついちゃって
…可愛いんだよ
S「ずっとそうしてるつもり?」
N「…ほっといて」
S「取材しづらくない?」
N「通訳がシッカリしてれば大丈夫でしょ」
S「ははっ、他力本願だな~」
N「…うるさいな…」
S「おっ?俺にそんな口きいていいの?」
N「…ごめんなさい、通訳サマ」
そうこう言ってる内に
奥から出てきたのは、やたら体のでかい青い目をしたオジサンで
「ヤァ、イラッシャイ」
外国人特有のイントネーションで話しかけてきた
N「…え、日本語?」
だよな
確かに日本語だ
それでもニノは俺の後ろにくっついてる
S「初めまして。お電話した櫻井です」
俺も日本語で話しかけると
「コンバンハ。オーナーノ、ジョンデス」
大きな手を出して握手してくれた
N「…取材させていただく二宮です」
ニノもやっと出版社の名刺を出して
ようやく取材の開始になった