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アスタリスク【ARS.O】

第10章 宴【アキ】

「親が入学金や教科書代払ってくれたのに、3日で辞めたの?何で入学する前に『ダンスがしたいから高校行かない』って言わなかったの?」

勉強したくても続けることができなかった自分と、勉強できる環境があったのに辞めたオジサン。

高校と大学を同じには考える訳ではない。

だけど、やはり世の中は不平等だ。

「アキちゃん、落ち着いて…。ね?」

潤が私をなだめた。

二宮は、まずい話題を振ってしまったと、苦い顔をしている。

八つ当たりだ。

私が大学を中退したのはオジサンのせいじゃないのに。

「お手洗い…。」

私は席を立った。

私は、トイレで気を落ち着かせた。

トイレを出ると、二宮が壁にもたれて立っていた。

「あんまり怒んないでくださいヨ…。」

ポケットから煙草を取り出して、火を点けた。

「大野さん、高校辞めて京都で下積みやってたんデスよ。それなりに苦労したんですヨ。」

フゥッと煙を吐いた。

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