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アスタリスク【ARS.O】

第10章 宴【アキ】

「あと、翔さんの無礼も許してあげてくだサイ。大野さんのことが死ぬほど心配なんデスよ。」

二宮はチラッと横目で私を見た。

「去年の秋に、大野さん週刊誌にすっぱ抜かれて…。その時の大野さんの衰弱ぶりったらなかったデスよ。」

伏し目がちに話す二宮からは、軽薄さは影をひそめていた。

何とも言えない憂いを帯びていた。

「大野さん、警戒心が弱いでショ。だから、翔さんは大野さんの交友関係にピリピリしてんのヨ。」

二宮は上目遣いで私を見た。

ドキッとした。

「わかった…。」

私が答えると、二宮は肩をすくめた。

「でも、何で?」

私の抽象的な問いかけを二宮は理解したようで。

「ワタシも昔は貧乏人でしたからネ。ワタシはアンタ側の人間デスよ…。」

二宮は背中を丸めて皆のテーブルに戻って行った。

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