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アスタリスク【ARS.O】

第10章 宴【アキ】

テーブルに戻ると、櫻井が私を手招きした。

「お前、このままでいいのか。」

「このままって…。」

「教師になれなくて、このままあきらめてバイト人生送るのか。」

「でも、教員免許もないのに…。」

櫻井はイライラした様子で、テーブルを指でトントン叩いた。

「お前、頭悪いな。僕の同級生が学習塾を経営している。インターンするなら紹介してやる。」

櫻井は、私を見つめた。

「教育の場は学校に限んねーだろ。」

櫻井は強い目をしていた。

「明日じゃなくて、もっと先を見ろ。未来を想像しろ。」

吸い込まれるような澄んだきれいな目だった。

「話が決まったら、智くんを通じて連絡する。あとは自分で何とかしろ。」

言い捨てると、櫻井は紹興酒のグラスを空けた。

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