アスタリスク【ARS.O】
第10章 宴【アキ】
潤は車を飛ばして東京に向かった。
病院に連れて行ってもらった時は意識が朦朧としていてよくわからなかったが、潤の車は高級外国車だった。
オジサンは、車に乗るとすぐに寝た。
「アキちゃん、今度俺らのコンサート来てよ。毎年冬に東京でやるから。」
「ん…。」
行ける訳がない。
でも、潤のその心遣いが嬉しかった。
後部座席から見る潤は、本当にカッコよかった。
目が悪いのか、潤は眼鏡をかけていた。
優しい潤。
お母さんみたいな潤。
寝ていたオジサンがバランスを失って寄りかかってきた。
ふわふわの髪が頬をなでてくすぐったい。
イビキをかいている。
細い首。華奢な肩。
オジサンの髪からは、ほんのり香水のいい香りがした。
私の部屋に忘れていったキャップと同じ香り。
私は深く息を吸い込んだ。
病院に連れて行ってもらった時は意識が朦朧としていてよくわからなかったが、潤の車は高級外国車だった。
オジサンは、車に乗るとすぐに寝た。
「アキちゃん、今度俺らのコンサート来てよ。毎年冬に東京でやるから。」
「ん…。」
行ける訳がない。
でも、潤のその心遣いが嬉しかった。
後部座席から見る潤は、本当にカッコよかった。
目が悪いのか、潤は眼鏡をかけていた。
優しい潤。
お母さんみたいな潤。
寝ていたオジサンがバランスを失って寄りかかってきた。
ふわふわの髪が頬をなでてくすぐったい。
イビキをかいている。
細い首。華奢な肩。
オジサンの髪からは、ほんのり香水のいい香りがした。
私の部屋に忘れていったキャップと同じ香り。
私は深く息を吸い込んだ。