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アスタリスク【ARS.O】

第11章 火消し【和也】

しかも、文字盤にはダイヤが数石はめ込まれてた。

これ、200万は軽く越すな。

質に入れたらいくらになんだろ…。

「質に入れてもかまへんで。」

マミさんが、ニヤッと笑って言った。

「現ナマ渡すのもやらしいから、形にしただけや。後はアンタの好きにしたらええ。」

すごいな、このババァ。

どんだけ金持ってんだ。

大阪のテレビって、そんなに儲かんの?

しかも、気前がいい…。

大野さんの件も上手く立ち回ってくれたし、案外役に立つかも…。

アバンチュールは無理でも、手なずけておいて損は無いか。

俺はマミさんにズズッと体を寄せた。

「素敵なプレゼントありがとう…。俺、ちょうど腕時計欲しかったんだよね。」

そう言いながら、マミさんの肩を抱いた。

「俺、何もお礼できなくて。こんなのでごめんね…。」

マミさんのアゴに手をかけ顔を上げさせた。

そのタラコのように真っ赤な口紅がべったり塗られた唇に俺の唇を寄せた瞬間…

スパーーーン!

乾いた音とともに頭に激痛が走った。

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