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アスタリスク【ARS.O】

第13章 ギター寺子屋【翔】

「えーっと…。」

確かに、この手の問題は中学生の時にやった覚えがある。

錯角とか同位角とかのあれだろ。

「翔先生、わからないの?」

リョウくんが不安気に俺を見上げた。

「わ、わからないんじゃない。思い出してるんだよ。」

図形の証明なんて、高校出てから一度もやってない。

実生活でも使ったことがない。

くそっ、連立方程式くらいなら楽勝なんだけどな。

「翔先生、まだ思い出せない?」

リョウくんが暇をもて余してペン回しを始めた。

「ちょっと待て、喉元まででかかってんだ。」

うんうんうなったが、全然思い出せない。

「慶応ボーイって、案外たいしたことないのね。」

後ろから、ハハッと笑うアキさんの声がした。

「うっせぇ…、黙ってろ。」

アキさんは俺を押しのけて、リョウくんに解き方を教えた。

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