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アスタリスク【ARS.O】

第13章 ギター寺子屋【翔】

「支援の方法はいろいろあるけど、僕は僕のできることをやろうと思ったんだよ。」

自身が営む楽器店に毎日やって来てはギターをながめて黙って帰る子がいたという。

「あまり毎日来るから、ちょっとギターを触らせてやったら目を輝かせてね。」

その子は、ギターをやりたいけど、家にお金がないから無理だと寂しそうに言ったそうだ。

「それからいろいろ考えてね。で、やっぱり学生に一番大事なのは勉強だろうと、単純な答えにたどり着いたわけ。」

ヨシオ先生は、大切そうにギターケースをなでたた。

「ギターの音があふれる寺子屋でみんなで楽しく勉強して、成績上がれば貧乏から脱却できて…、ひょっとしたら僕の店で将来ギター買ってくれるんじゃない?」

そう言っておどけるヨシオ先生に、アキさんと俺はクスッと笑った。

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