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アスタリスク【ARS.O】

第14章 一等星、三等星【アキ】

帰り道、塾長は缶コーヒーを買ってくれた。

「新人はみんな通る道だよ。」

体裁上、私にも謝罪せざるを得なかったけど、気にしなくていいよ、と言ってくれた。

「初めから完璧にできる人なんかいないからね。」

「ありがとうございます…。」

コーヒーのプルタブを開けて一口飲んだ。

ため息をついて空を見上げると、まばらに見える星。

「………。」

例え小さくても、地上からは見えなくても、星は光っている。

オジサンの顔が浮かんだ。

私と同じ三等星だと思っていたオジサンは、まばゆく輝く一等星だった。

五角形の一等星のうちのひとつだった。

私とは比べ物にならない大きく輝く星。

「じゃ、行こうか。」

塾長が私に声をかけた。

私は飲み干したコーヒーの缶を空き缶入れに入れた。

私だって輝ける。

三等星には三等星の輝きがある。

一等星には到底届かなくても…。

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