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アスタリスク【ARS.O】

第14章 一等星、三等星【アキ】

マンションに帰ってお風呂から上がると、ナッチャンから電話がかかってきた。

『アキちゃん、久しぶり!』

相変わらずの屈託のない明るい声。

今度、主任が大阪に転勤になるという。

壮行会をするから来ないか、という誘いだった。

「うん、行こうかな。主任にはお世話になったから。」

私が熱を出してシフトに穴を空けた時も、主任は怒らずに私の体調を気づかってくれた。

『よかった!アキちゃん、いつも飲み会とか来なかったから…。アキちゃん来たら、主任喜ぶよ!』

今までも、倉庫のバイトの飲み会はあったけど、お金がなくてずっと不参加だった。

忘年会も、歓迎会も、送別会も。

お金がなくて、義理を通せなかった。

転職して、義理を通せる金銭的な余裕ができた。

「ナッチャン、誘ってくれてありがとう…。」


そして、こんな私を見捨てずに誘ってくれたナッチャンがありがたかった。

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