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アスタリスク【ARS.O】

第15章 アスタリスク【智】

「俺が言うことじゃないことかも知んないけど…。アキのこと、よろしくお願いします。」

頭を下げる俺の肩を、ヨシオ先生はそっと起こした。

「アキ先生、言ってましたよ。『自分には二人の父親がいる』って。」

「二人の父親…?」

ヨシオ先生はやさしく笑った。

「『自分を捨てた父親と、自分が拾った父親』がいるって。」

「それって…。」

きょとんとしている俺の肩を、ヨシオ先生はポンポンと叩いた。

「あなたでしょ?アキ先生に拾われた父親って。」

「え…。」

ヨシオ先生は、俺の手を強く握った。

「僕たちも、アキ先生のことちゃんと見守りますよ。だから安心してください。」

涙がぼろぼろこぼれてきた。

「よろしくお願いします…。」

かたく握ったヨシオ先生の手をぶんぶん振った。

ママさんも、手を添えてくれた。

もう一度頭を下げて、俺はアキと翔ちゃんのもとに走って戻った。

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