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アスタリスク【ARS.O】

第15章 アスタリスク【智】

「うっ、ううっ…。」

俺はせきをきったように号泣した。

翔ちゃんが俺の肩をギュッと抱いてくれた。

「お、俺、翔ちゃんみたいにアキを未来に導いてやれなかった…。」

「うん…。」

「ヨシオ先生みたいに、家庭の暖かさを与えてやることもできなくて…。」

「うん、うん…。」

「アキに何にもしてやれなくって…。」

「それは違うよ、智くん。」

翔ちゃんが、やさしく言った。

「智くんは、ずっとアキさんのそばで寄り添っていたじゃないか。それは、智くんにしかできなかったことだよ。」

「しょおちゃあん…。」

翔ちゃんは、ティッシュで俺の鼻水をふいてくれた。

「よかったね、アキさんの父親になれて…。」

「うん…。」

俺は翔ちゃんの肩に顔をうめた。

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