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アスタリスク【ARS.O】

第1章 今年いちばん寒い夜

仕事終わりに、何となく電車に飛び乗った。

電車に乗るなんて、いつ以来だろう。

いつも、仕事はマネージャーに車で送迎してもらってたから。

だから、こんな寒い日にも、こんな軽装で。

トレーナーにジャンパーを引っ掛け、キャップをかぶっただけで。

乗ったことのない路線の電車に乗り、知らない駅で降りた。

目的もない。行き先もない。

ただ、コンビニエンスストアの前で、しゃがみこんでいた。

「アンタ、さっきからそこに座ってるけど、行くとこないの?」

ふいに降ってきた言葉に顔を上げると、そこには黒髪のロングヘアの女の人が立っていた。

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