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アスタリスク【ARS.O】

第6章 現実の生活

「とにかく病院行くぞ。」

俺はアキのベンチコートをハンガーから外した。

「保険証もお金もないから行けない…。」

アキの声はもう力なくって。

「くそっ、どうすれば…!」


俺はスマホを出してタップした。

頼む、出てくれ…。

呼び出し音が数回鳴って電話はつながった。

『智くん、どうしたの?』

「翔ちゃん、助けて!アキが!」

翔ちゃんは今日はニュース番組がある日で、放送前の時間に電話に出てくれた。

「すごい熱なんだけど、保険証がなくて…。」

俺は混乱する頭で必死に説明した。

『アキって誰?まぁ、詳しくは今度聞くよ。それより智くんお金いくら持ってる?』

「え、うん。7~8万くらいかな…。」

『病院の窓口で“自由診療でお願いします”って言うんだよ。大丈夫、診察はきちんと受けられるよ。』

「自由診療…?」

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