テキストサイズ

アスタリスク【ARS.O】

第6章 現実の生活

「喉が赤く腫れてるらしくて、それの熱だろうって…。」

「そうか…。最近はちゃんと食ってんのか?」

アキは、点滴の液がポタリポタリと垂れるのを黙って見ていた。

「返事しねぇってことは、食ってないんだな。野菜とか肉とかちゃんと食えよ。」

「栄養のバランスなんて、セレブが言う言葉よ…。」

俺は言い返せなかった。

「給料日前は、コーヒーの砂糖でカロリーとるのがやっとだよ…。」

そういえば、アキんちで飲んだコーヒーは甘かった。

あれはアキが甘党だからではなく、カロリー摂るためだっかのか。

「オジサン、診察代いくらだった…?」

「そんなこと気にするな。」

「気にするよ…。払ってもらう義理がない…。」

もう涙が出そうだった。

「出世払いでいいよ…。」

「出世なんかする訳ないじゃん…。」

俺はアキに背を向けた。

「ぶっ、分割でいいよ!」

ようやくアキは納得したようだった。

俺はもう涙をこらえられなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ