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アスタリスク【ARS.O】

第1章 今年いちばん寒い夜

「アンタ、名前は?」

「俺は…、サトシ。」

どうやら、女の人は俺が誰かわかっていないようだった。

「“俺はサトシ”って、マサラタウンから来たの?」

女の人は、またハハッと笑った。

「ポケモンじゃねぇよ。」

俺は、口をとがらせた。

「ごめんごめん。私はアキ。」

女の人…、アキはいまだに笑いがとまらずにいる。

アキの部屋には、家具らしいものはコタツとベッドくらいで、がらんとしていた。

テレビもない。

「アキは、テレビ見ねぇの?」

「買うお金がないから。」

アキは即答した。

「バイト代が貯まったら買おうと思ってたけど、いまだに貯まらなくてね。だから、ラジオばっかり。」

アキは、ラジカセを指さした。

「ラジオもいいもんよ。」

アキは、また笑った。

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