テキストサイズ

アスタリスク【ARS.O】

第10章 宴【アキ】

二宮は、首の伸びた長袖Tシャツを着ていた。

長くて手が出ない袖もちょっと擦りきれていた。

つい、ジロジロと見てしまった。

「何だよ、アキちゃんワタシのこと好きになっちゃった?」

二宮は目のまわりが赤くなっている。

酒に弱いのか。

私は反対側の隣を見た。

オジサンが、円卓の回転台を回している。

「アキ、相葉ちゃんちの料理すんげー旨いから、腹一杯食ってけ。」

そう言って、棒々鶏を小皿に取り分けてくれた。

「そうデスよ。遠慮なく食べなさいネ。今日は相葉さんのおごりデスから。」

二宮は春雨サラダをつついている。

「えー、俺のおごりなの!?」

相葉が声を上げた。

櫻井がオジサンと目を合わせて笑った。

屈託のない笑顔。

その視線がずれて、私と目があった。

とたんに、櫻井の顔から笑顔が消えた。

櫻井はギリッとにらむと、目を反らした。

私はため息をつくと、手を合わせて棒々鶏をひとくち食べた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ