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☆ラリマーの扉☆

第11章 真夜中の逢瀬~終わりを告げた逢瀬~

ぼくはもう、何も考えたくなかった。

天井を眺めていた目はいつの間にか閉じた。

そしてまた昨夜のように
溺れるように眠った。

そしてぼくは夢を見る


夢の中には

由良が居た。

見えない彼女の、由良…

かけ離れた絆と愛。

「由良!」

「ショウ」

場所は、逢瀬の始まりを告げたあの丘

現実と変わらない。

寝ているのに、なぜ?

……それはとにかく、由良に会えたのだから。

ぼくは会ってすぐさま、由良の唇を奪った。

「ん…」

「ふ…」

貪るようなキスを交わす。

唇を離せば、夜空でも見える、銀の糸

…離れないで?という気持ちを込めてつくられた銀の糸。

「由良、君はどこにいたんだ」

「ごめんなさい、ショウ…」

由良は下を向いて、首を振る。

答えなきゃ、許さない。

「私…貴方ともっと居られるのかなって…思うと怖くて」

「…ずっと居られるよ」

…由良は涙を流す。

「本当に?」

「あぁ…いる」

……由良は不安な顔でぼくを見つめた。

「私もいたいわ。だからさ、ショウ…」

「うん?」

由良は崖の前で止まった。

「由良と死のう?なら…居られる。一緒に…不安にならないよ…」

ぼくは由良の一言に驚く

…どうしてそんなことを言うのだろうか?

「死なない…なぜならここは夢だから…」

夢であることを 伝えたんだ

「夢でもいいじゃない、繋がろう?」

由良はぼくの手を握りしめ

崖から飛び降りた…

「骨になろう、夢の世界で…」

これが…由良の狂った想い?

水に浸かる間際、そんなことを思った。

夢の中では、分からない。

水の感覚が…

ただ、入ったことだけは分かる…

視覚しか、分からない…

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