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☆ラリマーの扉☆

第18章 オレ様王子と感情薄き王女  ~脱出~

オレはホルリの頭を撫でた。

「…可哀想に、ホルリ
あの破滅都市で生を受けて……」

睡眠薬を入れたのは殺意でもない、悪意でもない…。

ホルリの心の癒し。

「…相当心が痛んでいるだろうに」

そうつぶやき、男はホルリをソファで寝かせた。

そして、出て行った。

「目覚める頃にはきっと…
身も心も回復しているだろう、きっと」

…引き裂かれた心を修復してくれる薬なんてないんだぞ。

希少な素材を使っての薬だからな───…

オレはあの王女を救うがために使った。

…あの破滅の悪夢から逃がしてやりたかった。

ただ…それだけだ。


好意なんてなく、寂しさを紛らわすためだけに…

オレは悪魔だなぁ…なんてつくづく思う。

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