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☆ラリマーの扉☆

第20章 捨てられし王女は~再会~

だけど

クレディリスは

もう─────…


動けなくなった。
また記憶から遠ざかってしまいそう……

一度は消えかけようとした男…

それをけしたくなくて
もがくように、わずかな記憶を守った。

───…だけどもう

奇跡は起きずに横を通り過ぎていくかも。

なんてむなしいの、悲しいの?

もう、地に縛られて動けやしない

「クレディリス!クレディリス!!」

わずかな聴力が、男の声を捕らえた。

今、顔を合わせられる─────…?

見上げること、できる────…?

「アン…ディルス」

かすかな声で男の名をささやいたのだ。

「クレディリス!あぁ…君を待ってた!」

そう言い、抱きかかえるのは
アンディルス……

あたたかみを感じる、私……

「こんな……ぼろぼろで!」

「アン…ディルス……」

涙を流しながらじゃなきゃ、名は呼べない。




「やっと………
あなたに会えたわ……」


月夜の空……

あなたにあえた。

失ってまで私を探した、たったひとりの男……

「おう……」

退位してまで、私を探し出すだなんて…


金色の月の下

キスを交わした─────…

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