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青年はシノの顔を見て、にっこりと微笑んだ。

「ひるんでいるうちに逃げましょう…
ユートピアの創世主の娘、シノ…」

走りながらそう言った。

「…はい」

……桜叉シノ。
ユートピアを受け継いでいってくれ…

この青年と共に────…


突然脳内で声が聞こえた。

───シノは、力を持つのだから。

ふっ…─と声がとぎれた。


「シノ、今声が聞こえませんでしたか？」

「聞こえてきたよ」

「この少女と共にユートピアを受け継いでいってくれ、と言われました」

「私はその逆っ」

「あはは…」

脱出のさなか、話をしながら劇場から
脱出した。


あのロボットの声、嫌………

『ありがとうございました…
ﾋﾟﾋﾟｯ…』

もう…人も苦しむ劇場なんて二度といくものか……

「お客様…」

「はい？」

受付係の人だ……

「なに、逃げてるんですか？」

「……ひょえ？」

かたをすごい力でつかまれるっ…
なにこれ…砂鉄が磁石に反応したかのような

……感覚っ

「死んでこれば良かったのに…」

「なんなんですか…その言い方っ…
助けて！謎の青年…」

聞こえないの……？

「聞こえるわけがない
ふさいであるんだ、お客様の声を」

なに…ここ
異常な世界じゃないっ…

「ざけんなぁ…くっそ！」

「この劇場は死者を作り出す劇場
……いいでしょう？」

……何が
死者を作り出すなんてそんなおぞましいこと…

「よくない！」

「さっき逃げた観客は…
あとで死んでもらわなきゃあ…アハハ

意味がねぇんだよ！」

……受付係も、歌姫も！狂ってる！

「お前も死んでもらう」

ナイフを持ち、構える。

「やめて！離して！離してくれ！」

「うるさいやつだな」

「さぁ……お…まえも…」

ナイフの感覚が体に伝わる
……っっ～誰か！