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☆ラリマーの扉☆

第8章 理想郷の扉~青空の下、契約を結ぶ

「ここで話してもあれだしさ
場所移動しよう」

「わかった」

「ユートピアは人だけじゃなくて
魔物もいるよ」

謎の青年は

まじないを唱えた…


「よし、祈って」

「ええ…」

手をあわせ、祈った………

着いたその先は 何処なのだろう──?

       **

「着いたね、いこう」

着いた先は真夜中の摩天楼とは違う
真昼のビーチだった。

「うん…」

謎の青年とわたしは手をつないだ。

……ユートピアの恋人。

「さっきと違うだろう?」

「うん」

「このユートピアは、色々な世界がある
商店街だってある、王国だって……」

「うん…」

「素敵な世界だろう?」

一生ここにいてもいい気がする
怖さもあるけれど。

……

「桜叉シノ…どうかぼくと契約してくれない?」

「契約?」

「……このユートピアを受け継ぐのと
守ることさ」

いつもとは違う、謎の青年の瞳
瞳の──…光沢が。

「……。契約するわ」

「ありがとう、シノ
ぼくの名は桜叉レイトさ」

胸に手をあて、ひざまずく

「契約の証に手の甲にキスさせてください…」

ゆっくりと動く、わたしの手。

忠誠を誓ったようなキスがわたしの手に
宿る。

……印はくっきりと刻まれた。

「それにしても…私とどうして
同じ苗字なの…?」

「君の遠い昔の先祖だから……」

生きる時代が違う2人が出会った。

「…そ、そうなの」

「ユートピアを築いたこともあるし
守ったりもしたさ」

先祖ならもう…
ユートピアにしかいないんだ。

「死んでもなお、ぼくは現代の君が
来るまでずーっと守っていた。
ずーっと待ってたよ」

………

「ええっ……」

それを聞けばなぜか
ユートピアに未練が残ったような感じがする。


ひょっとしたら役目なのかもしれないが。

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