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☆ラリマーの扉☆

第9章 捨てられし王女は

クレディリスは、もう
驚いて、なんとも言えないきもちになった。

……明日の朝は、琥珀さんに見つからないように、逃げなくちゃ

じゃなきゃ…

なんか怖いの。

捕らえられてしまう予感がするの。

「クレディリス、おいで」

「…うん」

手を握り、ついて行く。

「君は、どこから来た?」

「とある王国から…来たんです」

名前が思い出せなくて、どうしようもない。

「その名前を教えて?」

「知りません…。思い出せないのです」

首を振って
本当に分からないことを示す。

「…ふぅむ。なるほど」

ハルヤは頬杖をついた。

「クレディリス。この村はな…」

「うん…」

何だろう。

「君の時代では滅んでいる
とっくにないんだ、この村は…」

そう言いつつ、悲しそうな顔をし、髪を揺らした─────…

「えっ…どういうこと!?それ…」

「ようするに、迷い込んだということさ」

「迷い…込んだ…」

えっ……信じられない
また足が地に押し付けられる。

「あの豪雨と、君が訪れたことでこの村を復活させた…」

涙を流した、ハルヤ。

「来たあの日が…村を……えぇ…ありえないよ」

驚いて何も言えない。

「ありえないだろう…信じられないだろう?」

「うん…知ったらなんとも言えない」

ハルヤはコクンとうなずき、

「だろう。でも…
時代が違っても、君とは友達だ」

「友達…」

この村の事実を知って、涙を流すクレディリス。

「…クレディリス。またな」

「またね…」

別れた後、クレディリスは泣き崩れた。

この村の全てが幻影だったなんて…
悲しくて泣きそうだわ……

離れたら滅んでしまうけれど
離れなくちゃいけない…

どうか…許して

クレディリスは琥珀の屋敷に帰った。

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