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信じられない。

「はい。済んだことを悔いても仕方がない、と」

それを聞いて、苦笑いしか浮かばない。

「…それは…後悔しているって事じゃないの？」

「いいえ」

ルークスはゆっくり首を横に振ると、私を安心させるためか、微笑みを浮かべて言った。

「前を向いて生きていく、と仰いましたから」

前を……

意外な言葉を聞いて戸惑ってしまう。

そんな私の様子に、ルークスは息を吐く。

「元々、あの方は…目的を達成したら、フェールロコノを出るおつもりでした」

「それは気付いていたわ」

ジュークがフェールロコノにいる理由は、お母様を殺めた者への復讐。

「あの部屋を見たら何となく察するもの」

ジュークの私室。

長年使っていたにしてはあまりにも物の少ない部屋だった。

まるで、いつでも出ていけるようにしていたようで…

「個人としての自分を全て捨てて、目的を果たそうとしているお姿は、見ていて気持ちの良いものではありませんでした」