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プリンス×プリンセス

第81章 風が吹いた

部屋の扉をノックする。

返事がないのでもう一度ノックして…

返答がないのを確認して、懐から鍵を取り出す。

これも旅行以来変わったことよね。

夜、鍵を掛けて眠るようになった。

理由は分かっているんだけど…

朝、起こしに来て、鍵を開けるという行為に、何故か緊張する自分がいる。

鍵穴に鍵を差し込み、右へひねる。

ガチャッ!

解錠の音が重く響き、その大きさに周りを見回してしまった。

大丈夫。誰もいない。

ひとつ息をつくと、ゆっくりと扉を開いた。

「おはようございます。シルフィです」

頭を下げて挨拶をして…

返事がないので頭を上げる。

すると、ソファーに体を預けるように、ぐったりと座る姿が目に入って――

「――っ!」

叫び声を飲み込んで、足早に近付く。

「いかがなさいました!?」

肩を揺すり、首筋に手を当てる。

その温かみと、はっきりした脈の鼓動を感じ、ほっと息をついた。

「ん…シルフィ…?」

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