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プリンス×プリンセス

第81章 風が吹いた

大抜擢とも言える選出に、カムリ自身もうろたえていたわね。

初日、緊張した面持ちで現れた姿は、いま思い出しても笑ってしまうくらいで。

カムリが選ばれたのは、きっと面識があるからだろう。

それに、もし万が一何かが起こっても、動じずに対処できるだろうから。

扉がノックされて、カムリの声がした。

扉を開けば、初日よりはましになったけど、それでもまだ緊張の色が隠せていない カムリがいた。

「ディオチェスター様のお部屋までお連れして下さい」

「分かりました」

目配せをして下がると、

「カムリ、お願いします」

「 はい」

新しい主の呼び掛けに、まだ緊張の残る声で応えた。

大丈夫かしら?

城内だから、よっぽど何も起こらないでしょうけど…

カムリ、おっちょこちょいだから。

二人の歩いていく姿を入口から見送り、角を曲がった所で部屋に戻る。

マキシミリオン様がいつ目覚めてもいいように、待機しなければ。

着替えを見繕い、準備万端整える。


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