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プリンス×プリンセス

第81章 風が吹いた

すると……

とんとん。

控え目に扉がノックされた。

あら?誰かしら?

「はい」

「僕だけど…」

カムリの声がした。

あまりの早い戻りね。

もうディオチェスター様の用は終わったのかしら?

扉を開ければ、そこにはカムリしかいない。

「…何か忘れ物?」

「いや、お部屋まで送り届けて、戻ってきた所」

「控えていなくてよかったの?」

「人払いされた」

あら、そうなの?

少しだけしょぼくれた雰囲気のカムリに、笑みを浮かべ

「だったらマキシミリオン様の側にいなさい。それもあなたの仕事でしょう?」

そう言って、カムリを部屋に招き入れた。

「朝食前には起こしに行くつもりだけど。もっと早く起こそうかしら?」

「いや……少し、話がしたいんだけど」

そう言いながらも視線をさまよわせて、私を見ようとしない。

そんなに言いにくい話なの?

眉を寄せて見ていたら、やっと口を開いた。

「シルフィは…テリオス様の居所を知っているのか?」

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