テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第83章 星空とレモネード

その目を見るのが怖い。

呆れた?馬鹿だと思ってる?

ジュークがどう思っているのかを知るのが怖くて――顔をそむけた。

するとジュークがキャリーバッグを引っ張ろうとする。

私も取られないように必死で掴んでいると

「ユーノスから聞いて…まさかと思ったのに」

暗い声で呟かれた。

その声が、残念そうに聞こえる。

ユーノスくんに聞いたから、ここに来たの?

見上げれば、ジュークのこめかみを汗が1滴伝っていくのが見えて…

「どうして?」

泣きそうになる声を抑えて聞けば、ジュークが戸惑いの顔を見せた。

彼の力が緩んだ所で、キャリーバッグを引き寄せて、取っ手を抱き込む。

「もう私とは無関係なはずでしょう?」

あなたが言ったのよ。

もう2度と会わない、って言ったのに。

「ティアナ様」

ジュークの呼び掛けに首を振る。

「ティアナはフェールロコノへ帰りました」

もうその名は譲ったの。

「私は違う」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ