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プリンス×プリンセス

第83章 星空とレモネード

あの子が幸せになるためにも、私が強く生きるためにも

「私はテリオスです」

これを揺るがない事実にする。

だから…放っといて!

取っ手を抱き締めたまま、ジュークを睨み付ける。

ジュークは一瞬眉を寄せて…

どうしてそんなつらそうな顔をするの!?

すると…

「何だ何だ?」

「引ったくりじゃないの!?」

「警察呼んだ方がいいんじゃないか?」

どこかからガヤガヤと声が聞こえてきた。

周りを見回せば…

え!

私たちを遠巻きに、何人かがこちらを見て話している。

もしかして…揉めてると思われてる…?

どうしよう!

ジュークを再び見上げれば

「行きましょう」

「え!?」

「ここにいれば目立ちます」

キャリーバッグを取られ、とっさに伸ばした手を掴まれた。

「あ、あのっ!」

ぐいっと引かれた力は強くて。

有無を言わせぬまま、ジュークに手を引かれ、走り出した。


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