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プリンス×プリンセス

第83章 星空とレモネード

そして宿まで送ってもらって――

私をロビーに残し、フロントへチェックインをしに行ってくれた。

そこまでしてくれなくてもいいのに。

こういう事も社会勉強で、これからは必要な事なのにね。

そう不満を考えながら――

それでも、少しでも長く一緒にいられるのが嬉しかった。

それももう終わる。

チェックインが済んで、部屋の鍵をもらえば、そこでお別れ。

フロントから戻ってくるジュークに、ニッコリと微笑む。

「手続き、ありがとう」

鍵をもらおうと手を差し出すと

「それが、今日は満室でお取りできませんでした」

「え?」

嘘でしょう?

「1部屋も?」

「はい。予約で埋まっているそうです」

さっきから見ていたけど、そんなに混み合っている雰囲気はなかったわ。

「それならば他の宿を…」

「フロントで確認しましたが、他のホテルもほぼ満室とか」

「そんな…」

宿泊先が決まらない。

初手からつまずくとは考えていなかった。

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