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プリンス×プリンセス

第84章 そして…

「これくらいで照れるな」

「…っ!ディオ!」

父上の手から髪を漉き取ると、口をつぼめて睨んでいる。

そんな母上へ、父上はくくっと笑みをこぼしている。

本当に2人は仲がいい。

家族と言うより、恋人同士のようにじゃれている気がする。

初等科の友達の親はそうでもないみたいだけど、仲がいいのは良いことだと思う。

そんな話をすると、シルフィは

『自分の両親に対してそう思えるのは、幸せなことですよ』

と言った。

確かにそうだな、って思う。

僕もいずれ出会う相手と、そんな夫婦になれたらいいな…

まだ見ぬ相手に、そんな想像を巡らせていると、父上が言った。

「披露宴にはまだ間があるようだ」

今は結婚の誓約式が行われている。

血縁者や近しい人しか会場に入れないので、僕達は暇をもて余していた。

そんな隙を突くように、父上や母上と話がしたい人達が入れ替わり立ち替わりで現れて…

正直、気が休まらなくて、落ち着かない。

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