テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第84章 そして…

ルークスの言葉に、シルフィが応える。

だけど、何故かシルフィの声が震えていた。

「知ってる子?」

そんな訳ないだろう。

そう思うけど、シルフィの様子が…

そうだとも答えないけど、彼女を見る目はそうだと言っている気がする。

「話しかけてもいいかなぁ?」

シルフィに聞くと、涙目で僕に頷き返してくれた。

…泣く程?

「じゃ、ちょっと行ってくる」

シルフィの様子がおかしいのは、あの子を見たから。

何者なのか、シルフィに聞いても答えてくれそうではない。

だったら彼女に直接聞いた方が早い。

そう考えて、彼女に近付いていった。

何て言おう?

どう話しかけたらいい?

悩んだ末……

「こんな水辺で天使に出会えるなんて。今日という日に感謝しなければ」

そう話してにっこり微笑んでみた。

視界の端でルークスが口元を押えて肩を揺らしているのと、シルフィが青ざめているのが見えた。

「あいつ…王子に何を教えてたんだ?」


ストーリーメニュー

TOPTOPへ