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プリンス×プリンセス

第15章 一曲、いかがですか?

「…ああ」

その話か。

お前の身の上話な。

「ずいぶんと信用されている様ですね」

ジュークの淡々とした口調に、何かが引っ掛かる。

『王族の秘密』みたいなものだからか?

簡単に話をしたディオに苛立ってるのか…?

「…ま、一応、義理の弟だからな」

『身内だから』感を出して、ジュークの苛立ちを和らげようとすると

「成る程」

短く呟いて、くくっと喉の奥で笑った。

…何で笑うんだよ。

思わず眉をしかめると、ジュークは笑いを止めて目を細めた。

「でしたら、テリオス様は私の義弟でもあるんですね」

低い声で呟かれた。

その声が重くて…決して喜んでいるものでない事だけはハッキリと分かって…

「ジューク…?」

何を…考えているんだ…?

すると、ジュークは小さく息を吐き、額に手を当てた。

「冗談です。申し訳ありません」

冗談って…

戸惑う俺に、ジュークは笑みを浮かべた。

それはいつものジュークの顔だ。

有能な執事の顔。

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