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プリンス×プリンセス

第15章 一曲、いかがですか?

このまま流してしまえば、『冗談』で終わる。

だけど、いつも作り物めいた表情のこいつが、初めて人間らしい部分を見せたんだ。

「いや、あながち間違いでもない…」

「いいえ!!」

言いかけた言葉は、ジュークの強い口調で遮られた。

「申し訳ありません。その話は忘れて下さい」

「…何でだよ」

ジュークを真正面から見据える。

俺の視線に一瞬怯んだものの

「私はあなた方とは違うんです」

そう言って、自嘲めいた笑みを浮かべた。

「私は所詮、呪われた存在です」

「はぁ!?」

「人々から祝福されて誕生した、ディオチェスター様とは違うんです」

こいつは…っ!

「卑屈だな」

「何とでも仰って下さい」

さっきと同じ笑みを浮かべたままのジュークにイライラが募る。

「だから、まともに祝えないのか?」

ジュークの頬がピクリと動いた。

動揺してるのが分かったけど、あえて気付かない振りをして言葉を重ねていった。

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