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プリンス×プリンセス

第17章 妻の役割

部屋の中はしんと静まり返っている。

自分の呼吸すら響きそうなほど静かな中で、時折ディオが書類をめくったり、署名を書き込む音がした。

こんなにもたくさん、目を通さないとならない書類があるのかしら。

それとも、今日はたまたま…?

ソファーに座ったままディオを眺めた。

すると、ちらりとこちらに視線を向けたディオが

「退屈ならテレビでも付けてくれ」

「え!?いえ、大丈夫です」

仕事をしている人の邪魔はしたくない。

首を振って、ソファーに座り直す。

視線をさ迷わせ…サービスワゴンに乗せられた茶器が目に留まった。

「ディオ、お茶でも淹れましょうか?」

ディオの仕事を手伝うことは出来ないけれど、こういったサポートなら出来る。

そう思って呼び掛けてみるも

「いや、いい」

短く拒絶されて、立ち上がりかけた腰を再び下ろした。

「そう…ですか」

ひとときの癒しさえ与えてあげる事も出来ない。

役に立てない事を嘆いて、ため息がこぼれた。

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