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プリンス×プリンセス

第17章 妻の役割

太ももの上で両手を握りしめる。

うつむいていると涙がこぼれそうになって、ディオとは反対側を向き、両手に力を込めた。

すると、ディオが静かに告げた。

「もうすぐ終わる」

「は…い?」

涙をこぼさないように、細かく瞬きをして誤魔化していると

「終わったら、コーヒーが飲みたい」

相変わらず、書類を見たまま。

だけど…

「は…はい!!」

急いでソファーから立ち上がった。

初めてディオの役に立てる!!

指先で涙を拭い、笑顔を浮かべる。

そしてサービスワゴンに近寄り、中身を確認した。

コーヒー豆はどこかしら?

けれど、ワゴンの上にはそれらしきものはない。

え…っと…

思わずディオを振り返ると

「銀色のポット」

書類を見たままで指摘された。

ワゴンの台に置かれた銀色のポットの蓋を開けると、芳しいコーヒーの香りが漂ってきて…

注ぐ…だけ?

コーヒーを淹れようと思っていたのに、あまりの簡単な仕事に目を瞬かせた。

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