テキストサイズ

プリンス×プリンセス

第17章 妻の役割

…え?

それは…確かにそうなんだけど…

あまりにも簡単に答えを出されて、深刻に考えていたのが馬鹿みたいに思えて、思わず笑ってしまった。

「初めてだな」

「え?」

「お前の笑った顔を初めて見た」

胸がとくんと鳴る。

「そうですか?いつも笑っていますよ?」

にっこり微笑んでみせると、ディオは鼻で笑った。

「その笑い方ならな」

そんな風に言われると、無理にでも張り付けていた笑みが剥がれてしまいそうになる。

「な…何の事でしょう?」

「無理はしなくていい」

ディオが手を真っ直ぐ伸ばして、私の頬に触れる。

思っていたよりも温かい指先に触れられて、戸惑いながらディオを見返すと

「何があってもお前を守るから。自分を偽らず生きろ」

この人は…

私よりもこの結婚を深く考えていて…そして、その結果を私に向けてくれているんだわ。

この人なら。

ディオになら安心して任せても大丈夫だと、心の底から思えた。

「はい…」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ