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プリンス×プリンセス

第17章 妻の役割

淡々と聞かれて、何故かドキリとした。

「いえ。部屋に戻るところでした」

何気ないように答えると、ジュークが困ったような顔になり

「部屋までお送りしましょうか?」

ほんの少しの距離なのに?

申し出の意図が掴めなくて、怪訝な表情を浮かべると、ジュークは言いづらそうに話す。

「お辛くありませんか?その…昨夜…」

「え」

「ジューク。無理にはしていない」

ポカンとした私の後ろで、ディオが何でもない事のようにさらりと告げる。

「そうですか?お顔の色が少し…」

顔を覗き込まれて、やっと何を言われたのかが分かった。

そして、それを理解した瞬間。

急いで胸元を隠すようにガウンをかき寄せると、ジュークに赤くなった顔を見られないように伏せて

「大丈夫です!」

それだけ言い残すと、ディオの部屋から足早に自分の部屋を目指した。

ディオの執事なんですもの。

ディオのスケジュールを把握している以上、ジュークが知っているのは当然よ。

頭では分かっているのに…。

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