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プリンス×プリンセス

第21章 底無し沼

俺が国王の妾腹だと知っているから。

そうでなければ、同じ使用人同士でそんな敬称は使わないだろう。

ふぅ…とため息をつく。

どうって事ではない。

今さらそれについてどうこう言うつもりもない。

ただ…

言えないことが心に沈んで澱になっていく。

こんな風に澱を溜めるようになったのはいつからだろう?

『ママ!!どこに行ったの!?』

子供の泣き叫ぶ声が生々しく頭に響く。

ああ…。あれから、だ。

母が交通事故で死んだ日。

家中の扉を開けて、母を探し回った。

天涯孤独な身の母には頼れるような親戚もなく、福祉施設に送られる事になった時。

着いた先はこの城で…

「お前にはこの子の遊び相手になってもらう」

国王様から突然指令されて驚く俺を

「お前は誰だ!?」

スカイブルーの瞳で俺を睨み付ける、幼き王子様。

自分よりも年下の目線の鋭さにたじたじとなり

「え…と…。ジューク…です」

詰まりながら名乗った。

あの時…だ。

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