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プリンス×プリンセス

第22章 そういう事、ですか

「そうですね」

とりあえず同意して笑みを浮かべる。

けれど、心の奥で何かが溜まっていく気がした。

「あ。こちらが取り急ぎご決裁頂きたいものになります」

思いを振り切るように、この部屋を訪ねた本題を切り出す。

抱えていた書類を机に置こうとして

「あ…っと」

昨日まで無かったものが置かれているのに気付いた。

「一輪挿し?何故こんな場所に…」

書類に引っかけて危うく倒しそうになり、無意識に不満を口にすると

「俺が置いた」

「は…」

ディオチェスター様からそんな言葉を聞くなんて、予想もしていなくて言葉に詰まった。

けれど、ディオチェスター様はいつもと変わらないように見える。

書類にサインをして、決済済みの山に積み上げていく。

迷いのない姿に、心の中で安堵の息を吐くと

「ですがここですと邪魔になりませんか?あちらに置きましょうか?」

サイドボードの上の方がいいような気がして申し出ても

「いや、ここでいい」

すっぱりと切り捨てられた。

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