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プリンス×プリンセス

第22章 そういう事、ですか

何かを思い出したように小さく笑みを浮かべ、コーヒーを口にしている。

そんな王子の様子に、さっきから感じている違和感が膨れ上がっていく。

昨日まではそんな事を感じなかったのに。

何かがあったのだろうか?

昨日と明らかに違っていることと言えば…

机の上に飾られた、一輪挿し。

薄桃色の薔薇が活けられている。

薔薇から連想するのは、ティアナ様とテリオス様だ。

だけれど、テリオス様が持ってこられる意図も構図も想像がつかない。

「ティアナ様から…ですか?」

その問いに、ディオチェスター様はコーヒーを飲みながら目線だけこちらに投げた。

「違うのですか?」

「何故そう思う?」

何故?

逆に問いかけられて、どう答えようか迷い、額にかかった前髪をかきあげると

「ピンクの薔薇の花言葉は『幸せ』と『感謝』ですから」

どこかで聞いた文句を頭の片隅から引き出してみた。

その二つを贈りたくなる相手…

やはりティアナ様しか思い付かない。

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